八田靖彦・奇跡の言霊ブログ(旧・奇跡の占いブログ)

アクセスカウンタ

zoom RSS 昭和最後の大女優・森光子の魂ここに在りー放浪記2000回達成に寄せて

<<   作成日時 : 2009/05/18 00:42   >>

ナイス ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 0

画像女優の森光子さんが、帝国劇場で「放浪記」の前人未到・2000回を公演を達成した。当日は、森さんの89歳の誕生日。政府は彼女に、国民栄誉賞を贈るという。かつて肉眼で「放浪記」を観させてもらった人間の一人として、心から祝福したい。


森さんといえば、私が子供の頃はフジテレビの『3時のあなた』の司会や、とんねるずと共演した『時間ですよふたたび』で活躍されていた。既に“昭和の大女優”の地位を確立されておられたが、バラエティーなどで若手芸人やジャニーズのアイドルと積極的に絡む姿勢に、親しみやすさを感じていた。高校時代に、ある女性誌のインタビュー記事で「お世話になった菊池寛先生が自宅を訪ねてきたとき、ある男性とベッドの中にいて。その時、菊池先生との縁は終わりました」と森さんが話しておられたのを読んで、「大女優にもそんな青春があったんだなぁ」と妙に親近感を覚えた記憶がある(私も思春期だった)。


先日放送されていた『森光子独占密着533日 放浪記2000回(秘)舞台裏』 では、平成の世を生きる“昭和最後の大女優”に1年半、密着取材をした様子が丹念に記録されていた。実家の旅館が倒産し、従兄の名優・嵐寛寿郎を頼って飛び込んだ芸能界。時は戦況厳しく、慰問団として南方を訪れ、散華を覚悟した飛行隊員を見送った。敗戦後も、肺結核に2度の離婚と試練が続く。恩師・菊田一夫脚本『放浪記』の芸術座での初演は、昭和36年10月20日。主役の林芙美子の波乱万丈の生涯は、そのまま森さんが歩いてきた軌跡にも重なる。



画像私が『放浪記』の舞台を観に行ったのは今から4年前、平成17年の3月のことだ。あの芸術座が老朽化を理由に取り壊されるというので、「森光子の放浪記を芸術座で観るチャンスはもうないんだ」という寂寥感にかられ、必死でチケットを取った。当時はまだ私は20代だったが、かつては放送作家を目指していたので、「大衆芸能の生き証人でありたい」という思いは常に持っていた。座席につくと、周囲はみな白髪の男女ばかり。しかし、それでも森さんよりは皆、年下なのだ。

子供の頃からテレビで観ていた大女優が、眼前に登場する。思わず「わっ、森光子だ」と小声で叫んだ。舞台で動き回る大女優は、とても齢八十を超えているようには見えなかった。ヒンズースクワットは、毎日必ず150回。普段は抱きかかえられながら歩くと聞いたが、そんな風には全く見えない。『入神の演技』とはこのことだろうか。「お嬢ちゃん、いつかきっと、幸せになるんよ」という台詞が胸に残る。恒例の“でんぐり返し”も目の当たりにすることができた。放浪記名物だったこの最大の見せ場も、森さんの事故防止のために平成20年をもって“万歳三唱”に変わった。私はこれから死ぬまで、「俺は、伝説の“森光子のでんぐり返し”を、生で観たことがあるんだぜ」と、自慢話の重要なレパートリーの一つとして披露していくだろう。当日は近藤真彦さんや東山紀之さんが激励に駆けつけ、芸術座の終焉にふさわしい空間となったことが思い出される。



余談だが、私はこの舞台を観た翌年、早稲田大学を受験する。最終口頭試問で「今までの人生で触れた音楽や演劇の中で、何か印象に残っているものはありますか」という面接官である教授の問いに、「森光子さんの、放浪記の芸術座最終公演を観に行きました。自分の青春時代の大女優の勇姿を、目に焼きつけたかったのです。芸術を志す者として、あの経験は勲章になったと思っています」と答えた。すると、その面接官の教授は日本の演劇史を研究されている方で、「羨ましいな。私もあれは観たかったのだがチケットが入らなかった」と返し、随分と空気が和んだ記憶がある。だから、私が早稲田に合格できたのは、半分は森さんのお陰かもしれない(もう半分は、推薦状を書いてくださった予備校時代の恩師)。





89歳で迎えた偉業達成に際して、「表現のもっと豊かな女優になりたい」と抱負を語った森さん。放浪記は、過労がたたって眠るように息を引き取る林芙美子が、「あなた、(売れっ子になっても)幸せじゃないんだね」と声を掛けられるシーンで終わる。林は48歳で生涯を終えたが、森さんは、その2倍の命数を与えられて今世での使命を全うされる気がする。我らが大女優は、最後にこんな言葉で締めくくった。




お客様の、心からの拍手。それだけで、生きてゆけます





大女優の入神の演技が、急に恋しくなった。






・・・明日は帝劇へ、当日券でも求めに行こうか。



関連記事:

Essay『我が女優論

ひたむきに生きる女性たちへー流れる汗も涙もそのままに“ひとすじの道”を

私たちは幸せを実感するための“共同体”・・・惜しみない愛をお互いに与え合おう

私たちの夜明けは近い・・・“生きる勇気”をひたむきな後進たちに伝承しよう

生きることは“旅すること”・・・辛いことは旨いものを食べて忘れればいい



放浪記DVD-BOX
東宝

ユーザレビュー:

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 2
ナイス ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
昭和最後の大女優・森光子の魂ここに在りー放浪記2000回達成に寄せて 八田靖彦・奇跡の言霊ブログ(旧・奇跡の占いブログ)/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる